奈良県支部の伏見有加です。

 

早期英語教育研究会主催のワークショップをいくつか開催させていただきましたが、その時によくいただく質問が絵本の読み聞かせに関して「母親である私の(拙い)発音で読み聞かせをしても良いのか?」「ネイティヴ発音を聞かせる方が良いのではないか?」という内容のものです。

 

もちろん、お母さま方は子どものことを思っての質問であることは重々承知ですが、このような質問が出る背景には、このネイティヴ信仰と言いますか、英語はネイティヴから習うべき、といった日本社会における偏った英語学習の在り方が影響しているような気がしています。

 

かくいう私も実は、ネイティヴスピーカーに憧れ、留学をすればネイティヴに近づける、と思っていました。でも留学して分かったことは、ネイティヴスピーカーにはなれないし、それで良いのです。なぜなら「日本人として」英語(やその他の学習言語)を話しているからです。そしてネイティヴスピーカーであっても(当たり前ですが)全員が同じ言語能力を有しているわけでは無いということに身をもって気付いたのです。人の話す「言葉」にはその人が今まで生きてきた「人生の歩み」が凝縮されています。大切なのは何を経験し、どんなことを感じ、それをいかに自分の言葉で言語化するか、ではないかと思うのです。

 

「自分の言葉として英語を使う」という選択肢が増えるという点が早期英語教育の魅力の一つではないでしょうか。ネイティヴであることを目指すのではなく「自分の言葉」としての英語の使用です。

 

そのためには「人生の歩み」をかけがえのない充実したものにしてあげたいですし、一つでも多くの美しいものに触れたり楽しいことを経験したりしてほしいものですね。冒頭の質問にある絵本読みの時間がその楽しいことの土台になれば、きっと「自分の言葉としての英語」の基礎になってくれるのではないでしょうか。